思い出の本①松原秀行『パスワードは、ひ・み・つ』

日記

今回は「思い出の本」という事で、私がミステリー小説を好むきっかけになった本について、紹介や感想文というほどではないが、思い出でも振り返ってみようかなと思う。

その本はタイトルのとおり、青い鳥文庫の『パスワードは、ひ・み・つ』。著者は松原秀行先生だ。青い鳥文庫というのは、講談社が出している小学校上級以上を対象にした小説のレーベルである。

私も小学生時代、青い鳥文庫の作品をよく図書館で借りて読んでいた。『パスワードは、ひ・み・つ』は、その青い鳥文庫から出版されていた子ども向けミステリーだ。当時は、はやみねかおる先生の夢水清志郎シリーズも人気だった。「どっち派?」みたいな話もありそう。

初めに読んだ青い鳥文庫作品が『パスワード』だったわけではないものの、自分でも親に頼んで買ってもらい、続きが出るとまた買ってもらい、楽しみに読んでいたのがこのパスワードシリーズだった。

どんな話かというと、パソコン通信(!)を利用した塾(今でいうオンライン塾)で学ぶ小学生たちが、少年探偵団よろしく身近な謎を解決したり、時には事件に巻き込まれたりするという話だ。ラブコメ要素もあり!

そのパソコン通信塾にはパスワード付きのチャット部屋があり、入団試験をクリアするとパスワードがゲットできる。週に2回、そのチャットルームのボスであるネロと少年探偵団で論理パズルを解いたり、誰かの身の回りで起きた不思議な出来事について話し合ったりするのだ。

私の家には当時パソコンがあった。Windows98ぐらいの時代で、まだダイヤルアップ接続だった。私はインターネットにしかつないだ事はなくて、パソコン通信というのはしたことがない。

ダイヤルアップ接続というのは回線接続方式の一つで、電話回線を使ってインターネットやパソコン通信を利用することができる。ピギャー、ガガガガと音をさせながらダイヤルし、なんだかんだ接続に失敗するので何度か試してようやくつながることも多かった。

パソコン通信は、接続したい相手の電話番号的な物を入力して直接やりとりをするという感じだ。たぶん。

私は小学生時代、同じくパソコンを使わせてもらえた友人(いたんですよ、友人と呼べる人が)数名とmsnメッセンジャーをして遊んだり、ハンゲームというサイトでゲームやチャットをしたり、もくもくとタイピング練習をしたり、日記を書いてフロッピーに保存したりしていた。

そんな私にとって、パソコン通信を通じて捜査会議をする少年探偵団が活躍するお話は、知的好奇心やちょっとだけ持ち合わせていた冒険心を大いに刺激したのだった。あと、違う学校に通っている仲良しができることにも憧れた。

パソコン通信探偵団の1人で主人公のマコトは、小学生ながらミステリー小説を大量に読んでいるミステリーマニアだ。当時はアニメ『名探偵コナン』の影響もあって私もホームズシリーズなどを少しは読んでいたので、作中で話題に上がると「私も知ってる、知ってる〜」と1人盛り上がっていた。

パスワードシリーズにおける「謎」というのは、時に実際の事件に巻き込まれることもあるものの、論理パズルや推理クイズなどが出題されることも非常に多い。数独好きだった私としては、そっちのほうも好みに刺さったというわけだ。

今回、青い鳥文庫の『パスワードは,ひ・み・つ』を手に取る機会があり、「え!」と思ったことがある。まず、カバーイラストが変わっていた。タイトルにNEWとついているし、パソコン通信探偵団ではなくて電子探偵団になっている。

私の記憶はたまに当てにならないので、比較用として古本屋で当時の版を探して買ってきた(実家は遠いのだ)。記憶どおりの表紙イラストを見て「そうそうこれこれ」と思いつつページをめくると、みるみるうちに物語に引き込まれ、結局最後まで読んでしまった。昨日も改訂版を読んだのに!何度読んでも面白い本は間違いなく名著である。

どちらも丸々読んだので、どこらへんが違うかもちゃんと分かった。パソコン通信がインターネットに、ファックスがパソコンに変わっていて、それに付随する部分もがちょこちょこ変わっていた。他にも時代の変化に関わる部分は変更されていた。

大人向けの小説だと、こういう改訂ってあまりないんじゃないかなと思うんだけどどうだろうか。昔の小説、例えば主人公がタイプライターを使う話とかって、昔の話だなあと思いながらそのまま読むよなあと思う。

そもそもの時代設定にもよるのかもしれないけれど、子どもが登場人物に共感できることの重要性や、謎解きの方に集中してほしいというような背景などがあるのかななどと想像して読んでみた。

作品冒頭で電子探偵団の説明があるので、物語への導入をスムーズにするためというのもあるのかもしれない。単純に単語を置き換えればいい話ではないので、大変だっただろうなと思う。

実は、私はこのシリーズは14作目までしか読んでいない。中学校に入ってしばらくすると、青い鳥文庫を読まなくなってしまったからだ。

今はもう大人になったけど、これを期に電子探偵団の物語の世界に戻ってみようかなと思っている。シリーズの最初の方の巻は改訂版が出ているので、新鮮な気持ちでもう一度読めるのが楽しみだ。

このブログを読んでいる人も大人の人が多いと思うけど、すぐ読めて面白いのでぜひ読んでみてほしい。大人でも絶対に楽しめると思う。

タイトルとURLをコピーしました